【入門編】データサイエンスとは何か。機械学習や統計学との関連も解説。
こんにちは、青の統計学です。
今回はデータサイエンスに興味があるけど、何をするのかよくわからない。何を学べば良いかわからない。という方向けの記事です。
データサイエンスの基本概念
データサイエンスは、データを活用し、ビジネス上の課題解決や意思決定を支援するための学問分野です。
プロセスは、問題定義、データ収集、データ前処理、データ分析、モデル構築、モデル評価、そしてビジネスへの展開という一連の手順からなります。
応用分野は多岐にわたり、例えばマーケティング、金融、医療、製造、流通、自動車、農業、エネルギー、環境、社会・行政などがあります。
データの収集と整理
データサイエンスの成功は、良質なデータから始まります。
データの収集方法とツールは多岐にわたり、スクレイピング、API、データベース、センサーなどからデータを収集することができます。
収集したデータを分析するためには、データの前処理やクレンジングが必要です。
データの可視化と探索的データ解析によって、データに含まれる特徴やパターンを把握し、仮説検証やモデル構築に役立てることができます。
データ分析と予測モデルの構築
データ分析の手法とアルゴリズムは多岐にわたり、例えば統計分析、機械学習、ディープラーニングなどがあります。
機械学習やディープラーニングを使った予測モデルの構築には、データの前処理、特徴量エンジニアリング、モデルの選択やパラメータ調整、モデルの評価と改善が必要です。
データ分析と予測モデルの構築によって、ビジネス上の課題解決や意思決定に役立てることができます。
機械学習については、本サイト「青の統計学」で数多く取り上げております。
以下のコンテンツをご覧ください。
また統計学に関しても扱っております。
標本から母集団の特徴を推測したり、現実の多くの場面で使われています。
以下のコンテンツをご覧ください。
ビジネスへの応用と価値創造
データサイエンスは、ビジネス上の課題解決や意思決定に直結する学問分野です。
ビジネス課題解決に向けては、データサイエンティストがビジネス部門と密に連携し、データドリブンな意思決定をサポートすることが重要です。
例えば、ロイヤルティの高いカスタマーのセグメントを分けたいとして、クラスタリングという手法を使って、カスタマーの購買履歴や行動履歴を学習に利用します。
scikitlearnのアヤメのデータセットを使って、品種の分類をしてみます。
import numpy as np
import scipy as sp
import matplotlib.pyplot as plt
import pandas as pd
from sklearn import cluster, datasets
from sklearn.preprocessing import scale
from sklearn.decomposition import PCA
d = datasets.load_iris()
xs = scale(d.data)
km = cluster.KMeans(n_clusters=3,n_init=10)
km.fit(xs)
cl = km.labels_
#データを主成分分析
pc = PCA(n_components=2)
pc.fit(xs)
#主成分スコア
pxs = pc.transform(xs)
#k平均法による分類でプロットする
mk=[".",",","^"]
for i in np.arange(3):
idx=(cl==i)
plt.scatter(pxs[idx,0],pxs[idx,1],marker=mk[i])
plt.show()

割と綺麗に分類できました。
アヤメのデータセットを例にしましたが、顧客の分類などに応用できれば、ビジネスに使えると理解できるでしょう。
アプローチすべきロイヤリティの高い顧客がわかれば、少ない投資金額で最大の効果を上げることができそうです。
細かいコードの説明は、以下のコンテンツをご覧ください。
【非階層型】K-means法でクラスタリングをしてみましょう。
データサイエンスのキャリアパス
データサイエンスのキャリアパスは、多様であり、データエンジニア、データアナリスト、データサイエンティスト、マネージャー、コンサルタントなどがあります。
データサイエンティストに求められるスキルは、プログラミング、統計学、機械学習、ビジネス知識、コミュニケーション能力などがあります。
学習には、オンラインコース、ブートキャンプ、大学の修士課程などがあります。
データサイエンスの課題と限界
データサイエンスには、課題や限界もあります。
-データの品質の問題-
データサイエンスにおいて、最も重要なのはデータの品質です。
データ品質が悪い場合、分析の結果が正確でなくなり、結果として誤った意思決定を導く可能性があります。
特に、大量のデータを扱う場合は、データ品質を保つための手間がかかります。また、収集したデータの中には、誤ったデータが含まれている可能性があります。
-データプライバシーの問題-
データサイエンスにおいて、個人情報を扱う場合があります。
そのため、データプライバシーの問題があります。データを収集する際には、個人情報を保護するための措置を講じる必要があります。
また、データセキュリティの問題もあり、不正アクセスやデータ漏洩などのリスクに対する対策が必要です。
-機械学習の限界-
データサイエンスの中でも、機械学習は特に注目されていますが、その一方で、機械学習には限界があります。
機械学習は、データのパターンを学習することで予測を行いますが、パターンがない場合や不明瞭な場合には、正確な予測ができないことがあります。
また、機械学習によって得られた予測結果が正しいかどうかを判断することも困難な場合があります。
-説明可能性の問題-
データサイエンスにおいて、予測結果の説明ができない場合があります。
特に、深層学習などの複雑なモデルを用いた場合には、その予測結果を説明することが困難な場合があります。
そのため、説明可能性を確保するための技術の開発が求められています。
-人の判断力の問題-
データサイエンスによる予測結果は、あくまでデータに基づいた数値的な結果であり、人間の判断力が必要な場面では限界があります。
たとえば、感情や人間関係といった主観的な要素を扱う場合には、データサイエンスによる予測が難しい場合があります。
また、予測結果を利用した意思決定においても、人間の判断力が必要な場合があります。
予測結果を確認するだけでなく、その背景や要因を分析することが重要です。
ここは、非常に厄介な問題であり、予測の精度を上げようとモデルを複雑にしすぎると、逆にどんな変数が予測に効いたのかわからなくなります。
データサイエンティストは、ただ汎化性能(未知のデータに対する予測の良さ)を求めるだけではなく、決裁者や上司にいかにデータを使って説明をするかも大事になってきます。
データサイエンスは、ビジネスにおいて有用性が高い技術ですが、ビジネス部門との連携が不十分な場合があります。
データサイエンスの分析結果をビジネスに活用するためには、ビジネス側がその価値を理解し、適切な意思決定を行う必要があります。
また、ビジネス側の要望を的確に把握することも重要です。
以下のコンテンツは、管理人がモデルの識別をいかに決裁者に伝えるかもがいている話を載せています。
【SHAP】特徴量重要度や寄与度、限界効果を意思決定者にうまく伝えたい話|python
-データサイエンティストの不足-
データサイエンスの需要が高まる中、データサイエンティスト不足が深刻な問題となっています。
データサイエンティストは、データ分析や機械学習の専門家であり、高い技術力が求められます。
そのため、育成には長期間が必要であり、需要に対して供給が追い付いていない状況が続いています。
データサイエンティストは、これらの課題や限界を認識し、適切な対策を講じることが必要です。
データサイエンスの最新動向
データサイエンスは、急速に進化しており、最新の技術やトレンドについて学ぶことが重要です。
例えば、自然言語処理、グラフデータ分析、異常検知、データの可視化、クラウドコンピューティング、自動化などがあります。
自然言語処理
自然言語処理についてもう少し深掘ります。
「人間の言葉をプログラムが理解するために行う処理」というのが、自然言語処理(Natural Language Processing)の簡単な説明になります。
例えば、自然言語処理の基礎中の基礎である形態素解析とは、「文章を単語に分割する技術」のことです。
形態素解析には、MeCabやJanomeというライブラリを用いることで簡単に行うことができます。

import MeCab
tagger = MeCab.Tagger()
text = "機械学習とは、人工知能の一分野であり、コンピュータにデータを学習させ、人間が行うタスクを自動的に行うことを可能にする技術です。"
words = tagger.parse(text)
words

このような結果が出ました。
ただ品詞や単語に分解するだけでは何の意味もなく、
「どれくらい同じ単語が使われているのか」
「口コミからユーザーが不満に思っていることは何か」
などの分析に使うことで初めて意味をなします。
また、人工知能や機械学習による技術の進化によって、今後ますます多くの分野でデータサイエンスが活用されることが予想されます。
データサイエンスの実践事例
データサイエンスは、実際に多くの企業や団体で活用されており、その事例を学ぶことで、自身の業務に応用するヒントを得ることができます。
例えば、大手ECサイトのアマゾンは、購入履歴や検索履歴などのデータを基に、顧客へのパーソナライズされたレコメンドを行っています。
また、製薬企業のロシュは、機械学習を用いた抗体設計を実現し、新薬開発に取り組んでいます。
データサイエンスを学ぶためのリソース
データサイエンスの学習には、様々なリソースがあります。
例えば、オンラインコースのUdemyやCoursera、データサイエンスに特化した学習プラットフォームのDataCampやDataQuest、無料のオンライン教材のKaggleやGitHubなどがあります。
また、書籍や専門誌、コミュニティなどもあります。自身の学習スタイルや目的に合わせて、最適なリソースを選択することが重要です。
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データサイエンスの展望
データサイエンスは、急速に進化しており、今後ますます多くの分野で活用されることが予想されます。
特に、人工知能や機械学習の進化によって、自動化や予測精度の向上などが期待されています。
また、ビッグデータの量がますます増加する中で、データ分析のスピードや精度を向上させる技術の開発が進んでいくことが予想されます。
データサイエンスは、ビッグデータの時代において、企業や団体において欠かせない存在となっています。今後ますます進化が期待される分野であり、データサイエンティストは、常に最新の知識や技術にアンテナを張り、ビジネス課題の解決に向けて取り組むことが求められます。